2012年6月1日金曜日

将来のエネルギー源、燃料電池2

将来のエネルギー源、燃料電池

燃料電池が電気を起こす原理は、非常に簡単です。
学校の理科の実験で、水の電気分解をおこなった人は多いと思います。
水の電気分解の装置は水に電気をかけて水素と酸素にするものですが、
燃料電池は水の電気分解のまったく逆の原理を利用したものです。
すなわち、水素と酸素を反応させて水を得る反応で生じる電気を
取り出す装置が燃料電池です。
燃料電池の燃料は水素と酸素であり、非常に簡単に得ることができます。
また、水素は爆発性が高く非常に危険な物質ですが、
燃料電池は水素を直接燃料として使うわけではありません。
LPガス、天然ガス、メタノールなどの化学物質から水素を
取り出しながら反応をおこないます。
したがって、貯えてある水素が爆発するなどというような事故は起きません。
安全に安定的に水素を供給し、電気を得られるしくみになっています。


この燃料電池ですが、
(1)有害物質の発生が非常に少ない、
(2)燃料源に幅があり、資源の渇枯問題に柔軟に対応できる、
(3)発電効率が比較的高い、
(4)燃料電池は発電機でもあり、電力会社からの送電ロスをなくし、
資源の有限利用ができる、
(5)電気を発電する際に発生した熱を利用できる、
というような特長があります。
燃料電池は将来、さまざまな分野で利用されるようになるでしょう。
一家に一台、燃料電池が設置される時代がくるかもしれません。

将来のエネルギー源、燃料電池1

将来のエネルギー源、燃料電池

私たちの生活にとって電気は必要不可欠です。
電気は非常に取り扱いが簡単であるということから、
さまざまな用途に使われており、今や電気は人類にとっては
生命線ともいえるエネルギーです。
さて、この電気ですが、現在は主に火力発電や
原子力発電によってつくられています。
火力発電から原子力発電に変えようという動きが出ています。
これは火力発電の燃料源である石油が有限な資源であること、
火力発電で生じる二酸化炭素や窒素・硫黄などの酸化物が地球温暖化や
酸性雨などの問題になるからです。
しかし、原子力発電も放射性物質を扱う発電であり、
発電の制御や放射性物質の廃棄物の処理問題など
大きな課題が未だ残されており、決して理想の発電方式とはいえません。


長い間、環境に対する影響や資源の有効利用を重視した
発電方式が考えられてきましたが、
新しい電気エネルギー源として燃料電池が有望視されています。
現在、燃料電池をエネルギー源とした自動車が注目されていますが、
この燃料電池とはいったいどのような電池なのか考えて見ましょう。
電池は化学反応により電気をつくり出すものですが、
燃料電池も普通の乾電池と同じように化学反応によって電気をつくり出します。
しかし、燃料電池には他の電池とは大きく異なる特徴があります。
燃料電池は化学反応を起こす物質(=燃料)を供給することにより、
連続的に電気をつくり出すことができるようになっています。
そういう意味で燃料電池は単なる電池と考えるよりも、
一種の発電装置と考えたほうが的を射ているかもしれません。

コラーゲンは、飲んでも、ぬっても、からだに良いタンパク質?2

コラーゲンは、飲んでも、ぬっても、からだに良いタンパク質?

それなら新しいコラーゲンを身体に補ってやればいいとの発想と、
精製技術の進歩から、飲料や化粧品などにコラーゲンが
添加されるようになったのです。
しかし、コラーゲンを飲んでも吸収されませんし、
皮膚にぬっても内側には浸透しません。
したがって、残念ながら、コラーゲンが本来、潜在的にもつ効用は
まったく期待できないのです。
実際、コラーゲン入りの飲料や皮膚に塗る化粧品は、
コラーゲン本来の効能をうたったものではありません。
なお、熱変性させたコラーゲンがゼラチンで、
これが飲料に入っていることもあるようです。


ゼラチンは螺旋状構造が壊れているので消化吸収されます。
ゼラチンはアミノ酸組成に片よりがあるので栄養価は高くありませんが、
古くからゼリーに、あるいは飲み込みやすい、
脂肪を摂らずにタンパク質を摂れるなどの理由で、
病院食やダイエット食に多用されています。
コラーゲンを身体の中に注入したり外科的に埋め込めば
本来の効用が期待できるので、医療では、形成外科で応用されています。
また、細胞組み込み型人工臓器の開発ものコラーゲンは不可欠です。
コラーゲンは医療の分野でますます応用されていく
タンパク質の1つに違いありません。

コラーゲンは、飲んでも、ぬっても、からだに良いタンパク質?1

コラーゲンは、飲んでも、ぬっても、からだに良いタンパク質?

コラーゲンが、飲料や化粧品などによく入っています。
飲んでも、皮膚にぬっても良いのなら、すごく万能な物質のようです。
では、どんな物質で、どんな効果があるのでしょうか。
コラーゲンは動物の構造タンパク質の一種です。
多細胞動物の身体をつくっている数百万種類ものタンパク質のうち、
量が最も多いのがコラーゲンは骨、軟骨、真皮などの結合組織に多く存在し、
自体が自らの重さでつぶれないよう支えながら、
細胞には居心地のいい場所を提供しています。
動物実験でコラーゲン合成を抑制させると胎仔の階段で死ぬことからも、
多細胞動物体を維持するのに必要不可欠なタンパク質と考えられています。
コラーゲンの構造は、アミノ酸が連なったポリペプチドと呼ばれる鎖状
のもの三本が、縄のように螺旋状になわれてできています。


多くのコラーゲンは生体内でさらに束になって膠原線維をつくっています。
この線維は、同じ重さの針金よりも強いほど丈夫なので、
身体を支えられるというわけです。
しかし、この構造ゆえの欠点もあります。
分解されにくいので、組織内に残った古いコラーゲンに
変質(分子間を橋渡しする架橋結合ができ、余分な糖が結合する)が
起こってしまうのです。
このような変質コラーゲンでできた線維は必要以上にかたくなり、
細胞の生理機能に悪影響を及ぼして、
新しいコラーゲンが合成されにくくなります。
そう、これらが、老化して皮膚にしわができたり、
張りがなくなったりする原因の一部と考えられているのです。

メラトニンは奇跡の万能薬か、若返り薬か?2

メラトニンは奇跡の万能薬か、若返り薬か?

これらのことから、メラトニンには、若返り、ボケ防止、
ガン予防(抗ガン作用)などのさまざまな効果が
あると考えられるようになり、
ついには万能薬とまで言われるようになりました。
アメリカでは栄養補助食品として売られており、
数百万人が常用しているといわれています。
日本やヨーロッパでは医薬品扱いされており、
日本ではまだ販売が認められていませんが、
アメリカから個人輸入によって入手が可能です。
体内でつくられている物質だから、長期間服用しても
副作用などがないと思われているようです。

確かに、大量に長期間服用しても、毒性がないという報告もありますが、
国内で大量服用による中毒の症例報告もあります。
また、睡眠誘発以外の効果については、
未だ研究途中で否定的な意見もないわけではなく、
はっきりしたことが確認できていません。
ただ1ついえることは、体内に存在していて本来少量で効くはずの物資を、
結果的に大量に取り入れるという自然の理に反する行為によって、
私たちのからだの健康を維持しようとしているということです。
メラトニンは、私たちのからだのさまざまな症状を改善してくれるという
可能性が高いのですが、万能薬と認められるためのデータがそろうまでは、
もう少し時間がかかるでしょう。

メラトニンは奇跡の万能薬か、若返り薬か?1

メラトニンは奇跡の万能薬か、若返り薬か?

奇跡の万能薬、あるいは、若返りの薬などといわれ、
アメリカで最も注目されている健康食品の1つであるメラトニン。
日本でも、雑誌やテレビなどマスコミでも取り上げられて話題になった。
メラトニンにはどのような作用があるのでしょうか。
メラトニンは、生物の体内でつくられる化学物質で生物時計
(体内時計)に関与し、眠りを誘発する作用があります。
メラトニンは、脳の中心部にある豆粒ほどの大きさの
松果体という器官で合成さてます。
不思議なことに夜になると大量に合成され、朝になると減少します。
それは、体内時計と考えられている脳の視交叉上核という部位が、
夜にメラトニン合成の命令を出すからです。


メラトニンは、心拍数を減少させたり、
体温を下げるなど身体各所の緊張をほぐし、眠りを誘発します。
体内で合成され、少量の服用で睡眠を誘発できるので、
天然の睡眠薬として、スチュワーデスなど時差ボケに困っている人や、
不眠の解消などに以前から利用されていました。
近年の研究の結果、メラトニンは、生後まもなく分泌が始まり、
思春期を過ぎた頃から分泌量が減少し、
高齢になるとほとんど分泌されなくなることがわかりました。
このことは、高齢者の睡眠時間が短くなることと対応しています。
そこで、メラトニンの量と年齢の関係を検討するため、
実験的にネズミに与えたところ、
寿命が延びるというデータが得られました。
そこで、メラトニンをとると若い頃の元気を
取り戻せるのではなかろうかと
思われるようになりました。
また、抗酸化作用や免疫機能の亢進、
種々のホルモンの分泌コントロールなどの作用も
もっているという報告もあります。

お茶で健康!2

お茶で健康!

最近になってお茶のポリフェノールが、
他の植物のポリフェノールと
大きく異なっていることが解明されてきました。
他の植物に含まれるポリフェノールは、
すでに大きな構造になっているのに対して、
お茶の葉に含まれているポリフェノールは、非常に小さな構造のものが
多種存在しています。
「お茶」がもつ特有の作用は、
このポリフェノールの効用ではないかと考えられています。
いくらからだにいいお茶といえども、
「薬をお茶で飲んではダメ」なのです。
それは、お茶に含まれているタンニンやカフェインが原因です。
タンニンは増血剤等に含まれている鉄分と結合してしまい、
薬がもつ本来の効き目を阻害してしまいす。


また、カフェインは痛風薬や気管支拡張薬の代謝を妨げてしまい、
いつまでも薬が体内に残ってしまいます。
お茶を飲みときに、気をつけなければならないこともあるのですね。
しかし、いずれの場合も、服用時間の前後1~2時間程度あけておけばよい、
ということなのでご安心下さい。
歴史的に私たちが最も長く愛飲しているお茶は、
中国四千年以上もの昔から、広く栽培していたと伝えられています。
緑茶、ウーロン茶、紅茶。
私たちが何気なくたしなんでいるお茶。
一杯のお茶を心ゆくまで味わいながら、心も身体もリラックスさせて、
ふと悠久の時代に思いを巡らせてみてはどうでしょう。

お茶で健康!1

お茶で健康!

ワインブームも含め、巷では健康食品と
銘打ってさまざまな食品が登場しています。
それでは、私たちにとって、最も身近な
「お茶」はどうなのでしょうか。
お茶には、その製造方法の違いにより、
大きく3つに分類することができます。
お茶の葉を発酵させないでつくる不発酵茶、完全に発酵させる発酵茶、
その中間的な存在で適度に発酵させる半発酵茶です。
それぞれ緑茶、紅茶、ウーロン茶に代表されています。
これらのお茶は、もともと同じ茶の木(中国原産のツバキ科)の葉を
原料にしてつくられています。
同じ種類の木の葉からつくったはずなのですが、
それぞれのお茶の成分は発酵の度合いによって少しずつ違っています。


代表的な成分は緑茶ではカテキン、
そして紅茶ではテアフラビンやテアルビジン、
その中間的なウーロン茶にはウーロン茶ポリフェノールなどです。
これらの物質の疫学的な効果については、
現在も多くの研究者が研究中ですが、
「発ガン抑制作用」や活性酸素を除去する「抗酸化作用」のほか、
「血中コレステロール低下作用」「血圧上昇抑制作用」「抗菌作用」など、
数多くの効用が報告されています。
また、“お茶でうがい”することにより、
風邪のウイルスの撃退に有効であるとか、
ウーロン茶ポリフェノールでは、
「虫歯予防やアトピー性皮膚炎にも有効である」
という報告もあります。

赤ワインを飲めば健康?2

赤ワインを飲めば健康?

赤ワインは果皮や種子ごと発酵させて、
できあがってから絞るので、ポリフェノールも残るわけです。
赤い果皮の色素が残るだけでなく、
他の成分も加わって赤ワインは豊かな味わいになります。
つくり方の違いから、赤ワインにも種類があって、
渋みの強いフルボディタイプのほうが、
軽い飲み口のライトボディタイプよりも、
たくさんポリフェノールを含むことになります。
渋みのもとは、タンニンなどのポリフェノールです。


ですが、ポリフェノールのためにワインを多量に飲むことは、
誰の目にも明らかな不健康のもとです。
チョコレートやお茶にもポリフェノールは含まれているのです。
フランス人は、ココアやチョコレートの類もたくさん摂取するといいます。
風邪薬を飲むとき、少々の赤ワインに限らずアルコールを口にすると、
血行がよくなって効き目がよくなることがあるそうです。
でも、アルコールを適量以上に摂取することは、お慎みください。
飲み過ぎは脱水症状になり、血液凝固を促進して脳梗塞の誘因となります。
特に脳梗塞の治療薬を使用しているときには、禁酒すべきです。

赤ワインを飲めば健康?1

赤ワインを飲めば健康?

「健康のために赤ワインを飲もう」という話が広がって、
酒屋さんの棚にワインがたくさん並ぶようになりました。
ワインの関税が下がって手頃な値段になった、
国内のワインメーカーが外国の有名ワインを輸入するようになった、
そんな事情も関係しているようです。
その赤ワインには渋みがあって好き嫌いがはっきりします。
好きな人にはとても好評の渋みですが、そうしてこの渋みが
日本人に受け入れられたのでしょうか。
「フランス人は動物性脂肪の摂取量が多いのに、
心臓病死亡率が低い」という統計結果が発表されました。
フレンチパラドクスといわれます。
すると、「これは、赤ワインをたくさん飲むからではないか」
といわれ始めました。


そこで注目されたのが、赤ワインに含まれる
ポリフェノールという物質です。
これは、ブドウの果皮や種子に多く含まれているものです。
これが抗酸化作用をもち、活性酸素のはたらきを押さえることで
動脈硬化を防いでいるといわれます。
では、どうして赤ワインなのでしょう。
白ワインはブドウを絞ってから発酵させるので、
果皮の成分はほとんど残りません。
逆に、それがすっきりとした味わいになるもとです。
うすく赤い色のついたロゼというワインもあります。
それは、赤ワインと白ワインを混ぜてつくるのではありません。
果皮ごと発酵させて色がついた頃を見計らって絞ってしまうのです。
絞ってからまた発酵を続けます。

2012年5月31日木曜日

塩分と高血圧は関係ない?2

塩分と高血圧は関係ない?

それは特に次の2つのことに注目するとよいようです。
1つは食塩感受性といって、食塩を摂取したときの血圧の変動が
人それぞれに異なることがわかったことです。
高血圧患者のなかには食塩を摂取すると血圧が上昇しやすく、
また減塩や利尿薬投与をするとすぐに血圧が下がる人たちがいます。
その高血圧を「食塩感受性高血圧」と呼んでいます。
一方、食塩を摂取しても血圧の上昇は軽く、また減塩や利尿薬投与をしても
反応しない人たちがいます。
これを「食塩非感受性高血圧」と呼んでいます。
後者のほうが多いのです。


もう1つは、食塩以外の栄養素の摂取が
血圧に影響することがわかったことです。
カリウム、カルシウム、マグネシウムには血圧を下げる作用があります。
食塩とともにカリウムやカリシウム、
マグネシウムを多く含む食品を摂っていると血圧が下がるのです。
また、タンパク質、ビタミンなどが不足していると、
食塩を過剰に摂ったとき傷害を受けやすくなります。
もともと、人間の体内には、塩分を調節する仕組みがあり、
余分な塩分は対外に排泄されるようにできています。
食塩をたくさん摂る人は、塩分の多い汗や尿を、
あまり摂らない人は薄い汗や尿を排泄します。
いつもあまり塩分を摂らない人は、いくらたくさんの汗を流しても
失う塩分の量は比較的少ないので、
補給する塩分の量も少なくてよいことになります。
遺伝的に食塩感受性が高く、食塩摂取量が増えると
血圧が上がるという人以外は、
普通には食塩を制限する必要はないと考えられます。

塩分と高血圧は関係ない?1

塩分と高血圧は関係ない?

スーパーの食品売場に山のようにある減塩食品。
減塩しょう油や減塩みそ…..
塩分摂取量の極端に少ないイヌイット(エスキモー)に
高血圧がほとんどいない、塩分摂取量が多い秋田県の人々は、
少ない沖縄県の人々より高血圧が多い、
という調査結果が知られたことから、塩分は高血圧に
関係深いというイメージが生まれていました。
ところが、そういうイメージをくつがえす調査結果が出ました。
塩分と血圧の関係を明らかにするため、1987年と88年、
世界の32カ国の52地域で、本格的な大規模疫学調査が実施されました。


調査方法は、食事内容を聞いて食塩摂取量を推定するという
今までの方法をやめ、住民の尿を集めて、
それを分析することで食塩摂取量をはかるという厳密な方法に変えました。
この結果、パプアニューギニアなど生活環境が極端に
他とは違う場所のデータを除くと、
食塩摂取量と高血圧とは関係ないという結果になったのです。
高血圧症予防のために、塩分の摂取を
1日10グラム以下に抑えようというのが厚生省の指導です。
それが、減塩食品がたくさんある理由です。
このことと大規模疫学調査結果をどう考えればいいのでしょうか?

「食いあわせ」で発ガン物質2

「食いあわせ」で発ガン物質

今までに胃の中でかなりの量のニトロソアミンが
産生されているはずなのに、ガンにならないのには、わけがあります。
実は、ビタミンCやビタミンEがニトロソアミンの産生を
抑制することが知られています。
野菜の中には多少なりともビタミンCも含まれているし、
前述した食品添加物として亜硝酸が加えられたハムやベーコンに、
発色効果の補助として、ビタミンCや
エリソルビン酸を加えることにより、
結果としてニトロソアミンの発生を防ぎます。
さらに人体には発ガンに対して防御機構を備えていることが知られています。


P52などのガン抑制遺伝子とポリメラーゼなどのDNA修復酵素です。
P52はガン細胞を排除するタンパク質で
ポリメラーゼはメチルなどでレタスや白菜などの
野菜を育てる場合は、窒素を含む肥料をあまり与えすぎないようにすることを
おすすめしますが空気中には窒素が含まれているので、
硝酸がまったく含まれない野菜をつくることは不可能です。
食生活の中で魚や野菜を食べないわけにはいかないので、
気になる方は若干多めにビタミンCを摂取するとよいでしょう。
サンマに大根おろし、それにレモンをしぼったりミョウガと
いっしょに食べると効果的です。

「食いあわせ」で発ガン物質1

「食いあわせ」で発ガン物質

日本の食卓では、サンマに大根おろしという、
たいへん一般的な組み合わせがあります。
実は、この組み合わせによってニトロソアミンという
発ガン性物質を生み出すことが最近になってわかりました。
ニトロソアミンは焼魚や焼干魚、加工魚介類に多く含まれています。
しかしニトロソアミンは単純な化合物なので、
第二級アミノと亜硝酸が胃の中にあれば、
かんたんに産生してしまいます。
第二級アミノを含む食品として魚などの海産物や魚卵などがあげられます。


一方、亜硝酸は食品添加物の発色剤としてハムやソーセージ、
ベーコン、いくら等に使用されていますが、
規制されているため、ごくわずかです。
亜硝酸は、野菜に含まれている硝酸から唾液中の口腔最近により
還元されて生成するのです。
毒性ですが、第二級アミン、亜硝酸とも単独では毒性はありません。
しかし、ニトロソアミンは生体内で代謝されてジアゾ化合物となり、
遺伝子のDNA分子や各種タンパク質をメチル化することにより、
胃ガンや食道ガン、肝ガンの原因となります。

アルコールの功罪(エタノール)2

アルコールの功罪(エタノール)

遺伝的に、日本人の約40%は2型の活性をもっていないそうです。
活性がない人では、ある人に比べて同じ量の酒を飲んでも血中の
アセトアルデヒド濃度が10倍以上も高くなるといわれており、
その結果、悪酔いや二日酔いが強く現れるといえます。
一方、白人や黒人はみな2型をもっているそうです。
エタノールには脳の中枢神経のはたらきを抑える性質があります。
理性を司る大脳新皮質の活動が鈍くなり、
その間、大脳辺縁系の本能的、
原始的なはたらきが活発化します。
こうして興奮状態となるのが「酔い」の初期状態です。


お酒を飲むと解放感を感じ、
ストレス解消効果が得られるのはそのためです。
これは酒の「功」といえるでしょう。
しかし、さらに飲み続けると、
血液中のエタノール量が増え、新皮質にとどまらず、
辺縁系、小脳、脳幹など他の部分も麻痺しはじめます。
これはもう「罪」の段階です。
後は飲むほどに、酩酊、泥酔、昏睡状態となり、やがて死に至ります。
「酒は百害の長」といいます。
酒を薬として考えれば、まず自分の適量はどれくらいなのか、
わかっておきたいものです。
飲み過ぎは体に「毒」ですよ。

アルコールの功罪(エタノール)1

アルコールの功罪(エタノール)

アルコールは、炭化水素の水素原子が
ヒドロキシ基で置換された化合物の総称です。
そのうち古くから「酒」として、人類に知られていたエタノール
(エチルアルコール)を単にアルコールと呼ぶことがあります。
「酒の功とは酔うことであり、罪もやはり酔うことだ」というと、
いったいどこが違うのか、とおっしゃる方もいるでしょう。
この違いを考えるキーワードは許容量です。
いくらお酒の好きな人でも、体が受けつける酒の量には限界があります。


体内に入ったエタノールはアルコール脱水素酵素(ADH)のはたらきにより
アセトアルデヒドに酸化され、酢酸になります。
酢酸は血液に送り込まれ、筋肉などで水と二酸化炭素に分解されて、
体の外へ出ていきます。
アセトアルデヒドは毒性が強く、顔面紅潮、頭痛、吐き気、頻脈などの
不快症状を引き起こします。
いわゆる悪酔い、または二日酔いです。
これらの症状は、血液中にアセトアルデヒドがなくなると消えます。
ヒトでは処理のほとんどをアセトアルデヒド脱水素酵素1型2型でおこなっています。
2型(ALDH2)は血中のアセトアルデヒド濃度が低いときにははたらく酵素で、
短時間でパワフルに作用します。

たばこは毒物の缶詰2

たばこは毒物の缶詰

たばこの煙は、喫煙者だけでなく、
その周りにいる人にも被害があります。
喫煙者が吸い口から吸い込むたばこの煙のことを主流煙といい、
火につけた紙巻たばこや葉巻、
パイプから直接空気中に出る煙のことを副流煙といいます。
副流煙には、ニコチン、タール、
一酸化炭素が主流煙よりも多く含まれています。
夫がたばこを吸っている場合、妻がまったくたばこを吸わなくても、
妻の肺ガンによる死亡率は、夫婦ともたばこを吸わない場合に比べて、
約2倍も高いという調査報告もあります。
WHOによると、年間300万人(1分間に6人)が
喫煙を続けたことによる病気が原因で、死亡しているそうです。


1箱のたばこの値段を320円とした場合、毎日1.5箱吸う人は、
10年間にどれぐらいのお金を使っていると思いますか?
実は、約175万円なのです。
たばこによる病気の治療費のためにかかった費用は、
それ以上にもなるそうです。
あなたやあなたの周りにいる人のために、
たばことのつきあい方を考えてみてはいかがでしょうか?

たばこは毒物の缶詰1

たばこは毒物の缶詰

たばこのパッケージを見ると
「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」
と書かれています。
海外のたばこのパッケージを見ると、具体的な病名まであげて、
注意をうながしているものもあります。
たばこの煙には、約4000種以上の化学物質、
このうちの200種類以上が有害物質で、
60種以上の発ガン物質が含まれているということがわかっています。
たばこは、毒物の缶詰のようなものです。
代表的な有害物質に、ニコチン、タール、
一酸化炭素があげられます。
ニコチンと一酸化炭素は、
血管を収縮させて血液の流れを悪くするため、
酸素不足を生じさせます。
これは、心臓や血液の病気を引き起こす原因となります。


また、ニコチンは、依存性(いわゆる中毒性)が強く、
人をたばこの虜にしてしまうのです。
タールには、ベンツピレンなどの
10種類異常の発ガン物質が含まれています。
タールは、発ガン物質として知られています。
発症率が高いのは、肺ガンですが、
咽頭ガンはじめ、全身にガンをつくるのです。
たばこのタールの量は、たばこの銘柄で異なりますが、
たばこ一本あたりおよそ6~14ミリグラム含まれています。
一本10ミリグラムのたばこを1日20本吸うとして計算すると、
1年間では、0.010グラムx20本x365日=73グラムとなります。
紙コップ半分のタールを体内に入れたことになります。

後もどりできない化学物質過敏症2

後もどりできない化学物質過敏症

ただし、揮発性有機化合物は種類がきわめて多く、
それぞれの安全性を評価し許容濃度を設定することは、
非常に時間のかかることです。
その中で世界保健機関(WHO)では、
代表的な揮発性有機化合物それぞれについて
そのガイドライン値だけでなく、その総量についてもその濃度を
300マイクログラム/立方メートルと提案しています。
といっても、例えばホルムアルデヒド濃度測定用サンプリング方法についても、
国際標準化機構の専門組織で現在提案されているような状況です。
このような状況をふまえて、健康住宅研究会では、
ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、木材保存剤、
可塑剤、防蟻剤を優先取組物質とし、
化学物質の放散量が少ない健康性の高い住宅を実現するよう提案しました。


そして建築物を提供する側が、たとえばJASでF1と表示された合板や
JISでE0規格のパーティクルボードを用いる、あるいは壁装材料協会の
インテリア材料に関する自主基準(ISM)を参考にするなどして、
化学物質放散の可能性の少ない材料や施工法を選択することや、
入居者へ住まい方の説明をすることなどの必要性を説いています。
このほか、有機溶剤をなるべく用いない塗料の開発など、
さまざまな取り組みが緒についたばかりです。
化学物質の毒性について、急性毒性に関しては最もよく調べられています。
そのほか発ガン性、慢性毒性、催奇形性などもよく研究されています。
ところがアレルギーに関する毒性や、化学物質過敏症に対する毒性情報は
今のところほとんどありません。
「塩ビ壁紙に含まれる難燃剤や防カビ剤の健康への影響は?」
と尋ねられても、なかなか正確に答えられないのは残念です。

後もどりできない化学物質過敏症1

後もどりできない化学物質過敏症

新しい家具や、すれ違った人の香水で、
目がしばしばした経験をお持ちの方がいらっしゃると思います。
ある種の化学物質に過敏に反応して、
目や鼻に違和感を覚えたり頭痛がしたり
気持ちが悪くなったりするような状態を、
化学物質過敏症と呼んでいます。
研究者の間では「多量または長期にわたって
微量の有害化学物質に暴露され、体内のレセプターなどが
いったん過敏性を獲得すると、その後きわめて微量の
同系統の化学物質との遭遇で複雑な臨床症状が出現してくる状態」と
定義されることが多いようです。


ただ、化学物質過敏症の半分以上の人が、
新築住宅入居を期に発症している
というデータもあり、シックハウス症候群と
同義のように使われることも多いです。
化学物質過敏症のうち多くの原因を占めているのが、
ホルムアルデヒドと揮発性有機化合物といった室内で
発生する空気汚染物質です。
揮発性有機化合物の中には新建材や塗剤(防虫剤やシロアリ駆除剤)、
外装材も油断がなりません。
揮発性有機化合物は、もちろん労働安全衛生上や火炎の問題も
無視できませんが、室内空気汚染とそれに起因する
健康被害にこそ着目すべきでしょう。

「混ぜるな危険」塩素ガスが発生2

「混ぜるな危険」塩素ガスが発生

塩素はプールの消毒にも使われます。
しかし、「なんだ、プールの臭いじゃないの」と油断はできません。
塩素は比重が空気より大きく、上の方に窓があっても下に貯まります。
床を磨いていては塩素の毒から逃れられません
この事故以外に、死亡にまで至らなくても、せきや吐き気など
塩素を吸入したための事故が起きました。
両方使用する前に、汚れが軽いうちのこまめな清掃を
おこなうよう心がけましょう。
塩素系洗浄剤単独でも、別な危険があります。
塩素系の洗浄剤(漂白剤、カビ取り剤など)の成分である
次亜塩素酸ナトリウムを含むものは、アルカリ性です。
アルカリ性の物質は、人体のタンパク質を溶かす性質があります。


例えば、髪の毛を一本、ガラスのコップに入れ、
そこにカビ取り剤あるいはパイプ洗浄剤を20ccほど入れてみましょう。
すると、髪の毛は黒から茶になります。
漂白効果だと思えますが、それだけではありません。
次第に細くなり、約10分後には溶けてなくなってきます。
指につければぬるぬるして、皮膚が溶け出します。
目に入れば、角膜のタンパク質を溶かし失明の危険があります。
たくさん使えばよく落ちる、濃いほうがよく落ちる、と思っていると、
恐ろしい危険が待ち受けているのです。
注意書きをよく読んで使用量を確かめ、慎重に正しく使用しましょう。
特に、スプレーしたときには、目に入らぬように注意してくださいね。

「混ぜるな危険」塩素ガスが発生1

「混ぜるな危険」塩素ガスが発生

「混ぜるな危険」と漂泊剤や洗剤に表示されていることがあります。
「危険」といいますが、どの程度危険なのでしょうか。
火傷でもするのでしょうか?
ところが、これは、命を失うこともあるくらい危険なのです。
酸性洗剤と塩素系漂白剤を混ぜると、塩素が発生します。
塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムと酸性の水溶液に
含まれる水素イオンが反応するからです。
塩素系漂白剤には、酸性洗剤以外にも、
酢やレモン汁であっても混ぜてはいけません。
塩素が発生してしまいます。


塩素は漂白、殺菌に優れた効果がありますが、たいへん危険な気体です。
第一次世界大戦で、ドイツ軍が毒ガスとして使用しました。
実際に、きれいに掃除しようとして洗剤と漂白剤の両方を使ったところ、
塩素ガスを発生させてしまい、命を失ってしまった主婦もいました。
1987年、徳島県でこの事故が起きました。
浴室で掃除をした後、「しんどい」と苦痛を訴えたので、
家族があわてて病院に運びました。
しかし、数分後に呼吸が停止し、死亡してしまいました。
病院では人工呼吸や酸素吸入を施したのですが、
肺や血管にひどいダメージを受けており、
効果はありませんでした。

「一回くらいは….」はダメ、シンナー中毒2

「一回くらいは….」はダメ、シンナー中毒

シンナーを止められなくなってしまう理由は、
その酩酊状態における幻覚の体験がきっかけとなっているようです。
シンナーを乱用しつづけると、集中力や判断力がなくなり、
何ごとにも無気力になるほか、身体がしびれたり、
歯がボロボロになったり、肝臓や腎臓などが影響を受けます。
さらに、大脳が萎縮し、一度破壊された脳の動きは、
たとえ乱用をやめても決して元に戻らないのです。
人格に影響を及ぼすこともあります。
イライラして落ち着きがなくなります。
無気力でだらしなくなったりします。
幻視、幻聴、妄想などを起こすこともあります。
他人への暴力や殺人などにもつながっていくのです。


「毒物及び劇物取締法」においても規制されているシンナーですが、
依然として少年を中心に乱用されています。
薬物による犯罪は今もなお、起こっているのです。
どんな甘い誘いがあっても、絶対に手を出してはいけないのです。
また、誘惑の手口が巧妙になっているので、薬物とはわからないで
手にする危険もあります。
しっかり見きわめる目が必要です。

「一回くらいは….」はダメ、シンナー中毒1

「一回くらいは….」はダメ、シンナー中毒

シンナー等の有機溶剤(水に溶けないプラスチックや
顔料などの有機化合物を溶解する目的をもった液体の総称)は、
塗料や接着剤を溶かしたり、
ドライクリーニングなどに使われています。
シンナーは、身体にどのような影響があるのでしょうか?
「二日酔いに効く」「肩こりに効く」「眠気がさめる」
「集中力がつく」「よい気持ちになる」
「ダイエットに効果がある」等の誤った情報があります。
「一回ぐらい使ってもかまわない」
「他人に迷惑をかけないのだから個人の自由」
などの誤った解釈があります。


シンナーは、刑務所に服役中の大人たちが、
酒代わりにシンナーを嗅いで酩酊したことが
始まりだと考えられています。
シンナーの情報が全国の少年たちに伝わると、1970年代には、
全国で、約5万件の補導件数を出すほどの大流行となったようです。
シンナーに含まれる成分を多い順に並べると、トルエン、酢酸エチル、
キシレン、メタノール、石油系溶剤などの有機溶剤の混合液です。
この中で、一番多く含まれているトルエンは、揮発性が高く、
それを吸い込むことにより、肺から容易に吸収されてしまうのです。
シンナーに含まれるトルエンの作用により、酒に酔ったような感じになり、
意識が朦朧とする症状が起こります。

2012年5月30日水曜日

マムシ、ハブ、ヤマカガシのヘビ毒1

マムシ、ハブ、ヤマカガシのヘビ毒

長い進化の過程で、唾液(消化液)が特殊化して
毒性をもつようになったもの、それがヘビ毒です。
ヘビ毒には、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を
中心とする酵素タンパク質のほか、非酵素タンパク質、
ペプチド類、生体アミノ類、アミノ酸などが含まれます。
これらの成分が複雑にからみ合い、神経毒、壊死、
出血、溶血、凝血、凝血阻止、
血液循環障害、毛細管透過性亢進などの毒作用を示します。


主な毒作用の解説
(1) 神経毒
神経回路を遮断し、呼吸麻痺(筋肉麻痺)を起こす。
「コブラ・ウミヘビ」
(2) 出血毒
血管壁を溶かして出血させ、患部の腫れや壊死を引き起こす。
「マムシ・ハブ」
(3) 溶血毒
赤血球を壊し、酸素の運搬にあずかるヘモグロビンを溶出させる。
「マムシ・ハブ」
(4) 亢凝固毒
血液の凝固能力を奪う。出血が止まらず、腎臓に機能障害が現れる。
「ヤマカガシ」
日本にいる毒ヘビは、マムシ、ハブ、ヤマカガシの三種です。
そのなかで、咬症事故がいちばん多いのがマムシです。
都市近郊ではすっかり姿を見かけなくなってしまいましたが、
それでも7月~9月を中心に、全国で1000人近い被害者が出ています。

スズメバチの毒(共存の道をさぐりながら)2

スズメバチの毒(共存の道をさぐりながら)

蜂に刺されて起きる死亡事故は、過剰なアレルギー反応による
ショック(アナフィラキシー・ショック)であることが多く、
過去に一度蜂に刺された人やアレルギー体質の人は要注意です。
これは小型の蜂で起きることもあるので、
蜂が小さいからといって安心はできません。
蜂に刺されたときは抗ヒスタミン剤の塗布で経過を観察し、
ショックが現れれば緊急入院が必要となります。
キンカンなどのアンモニアを主成分とする塩基性の薬は
蜂に関しては役に立ちません。
今は抗体検査がありますので、スズメバチの多い地方で、
体質などで心配な方は、ぜひ受検されることをおすすめします。


スズメバチの生息域は人に追われて後退の一方でしたが、
新しい団地が山間部にも進出するようになって、
いつのまにか蜂たちの適応が完了し、
エサの豊富な人里に巣をかけるスズメバチも多くなりました。
一方、人間もかつてのようにスズメバチが
攻撃を開始するまでにおこなう、羽を鳴らし、
カチカチと歯を合わせる威嚇行動を知らないため、
毎年のようにあちこちでスズメバチ騒動が起きているのは残念です。
なお、自宅の回りに蜂の巣を見つけ、
小さい子がいるなど共存が無理のようなら、
専門家に依頼して取り除いてもらうか、
深夜から早朝にかけて駆除をおこなうことになります。

スズメバチの毒(共存の道をさぐりながら)1

スズメバチの毒(共存の道をさぐりながら)

毎年夏から秋になるとスズメバチの事故がマスコミに登場し、
自然との共存のむずかしさを考えさせてくれます。
このスズメバチは日本特産のものが多く。
これについては、スズメバチに襲われた
ヨーロッパ産の蜜蜂が巣穴から出て戦おうとして外で
待ち構えているスズメバチに片っ端から食いちぎられて
全滅してしまいますが、ニホンミツバチは、
狭い出入口の内側で進入してきたスズメバチを
集団で迎え撃つことで、スズメバチの攻撃からしばしば巣を
守りきることが指摘され、進化の妙を感じさせてくれます。


日本産のオオスズメバチなど蜂類をエサにする
大型のスズメバチが外国では厳重な動物検疫の対象と
なっているのはそのためです。
動物のもつ毒は、植物の毒が比較的単純な化合物で
あるのに比較すると、複雑なタンパク質系の毒素が主になります。
そして一般に動物毒のほうが毒性が強く、中毒も早く現れます。
スズメバチを代表とする蜂の毒素は、蜂の体内でタンパク質を
分解してつくられている比較的単純なタンパク質やアミノ酸です。
廃物利用というきわめて効率的な方法で低コストで
毒素をつくっているわけです。
これらの毒素は人体に入ると溶血や血球の破壊を
引き起こして毒性を発揮しますが、大量に刺されない限り、
この毒素で直接死に至ることはめったにありません。

覚醒剤中毒、日常社会での大量乱用2

現在のわが国の覚醒剤乱用者は、そのほとんどが、
錠剤を内服するのでなく、静脈内に覚醒剤を自己投与します。
即座に性的絶頂感にも似た瞬時の快感(フラッシュ)が全身に走ります。
しかしこの異常な興奮も、本当は実際の疲労を無感覚にさせているだけで、
体内エネルギーが枯れてくると、一転して不安と狼狽が襲ってきます。
そして、再びハイな気分を求めてまた手を出してしまうのです。
覚醒剤は急速に耐性を生ずるので、
次々に強力なクスリを求める薬物依存状態となって、
からだの中の大切な臓器が荒廃していきます。
なんとか使用をやめられたとしても、数か月後に突然以前と
同様の症状が再発して(フラッシュバック)治療が困難となったりします。
さらに、覚醒剤まわし打ちの注射針がエイズウイルスを蔓延させる。
覚醒剤の害悪は個人にとどまりません。

幻覚、被害妄想、追跡妄想から家族に乱暴したり凶悪な犯罪
(通り魔殺人など)に駆り立てます。
身近な人から「やせられる」「自信がつく」「スカッとする」といった
誘い言葉についのせられ、「スピード」などの軽い呼び名で覚醒剤と
知らず引き込まれたりします。
吸入や鼻粘膜への塗布など注射器を使わない容易な服用法の出現、
覚醒剤のやみ価格の下落、薬物乱用のファッション化と罪悪感の低下、
安易に刺激を求める風潮、さらに最近の不況の長期化なども
覚醒剤の蔓延に拍車をかけています。
所持しただけで無期懲役または死刑という重罪を科している国々もありますが、
刑を重くするだけでは解決しない社会の病根へのメスが必要です。

覚醒剤中毒、日常社会での大量乱用1

覚醒剤中毒、日常社会での大量乱用

覚醒剤の使用保持の検挙者は年間2万人を越え、
実際の使用者はその約10倍、
1995年からはその使用事件は連続して大幅に増加し、
今は第3次覚醒剤乱用期といわれています。
特に携帯電話を利用して組織の元締的人物が注文を受け、
末端密売人にでんわで指示して公園などで一般の中高生を含む若者、
主婦、サラリーマンなどに薬物を渡すなど、
密売方法の組織化、巧妙化が進んでいます。
これらの覚醒剤は外国で密造され、
犯罪組織の資金稼ぎのために大量に密輸されて、
私たちの日常社会に流れ込んできています。

もともと覚せい剤のアンフェタミンやメタンフェタミンは、
神経化学伝達物質のアミンを分解する
モノアミンオキシダーゼを阻害したり、
神経末端からのカテコールアミンの遊離を増やしたりして、
疲労を和らげ、気分を高揚させる作用があります。
1941年にヒロポンの名で医薬品として市販されました。
戦中、ヒロポンとお茶の粉末を混合した突撃錠と呼ばれる
錠剤は51年の覚醒剤取締法、55年の覚醒剤原料取締法によって
厳しい規制・取締りを受けています。

麻薬の効用の表と裏、麻薬中毒2

麻薬の効用の表と裏、麻薬中毒

麻薬の代表的なものはケシの未熟の果皮から
分泌される乳液を乾燥したアヘンです。
その主成分はモルヒネで、
ギリシャ時代から鎮痛目的に用いられました。
アヘンの中国への密輸入をめぐって起こった清と
イギリスとの戦いはアヘン戦争としてよく知られています。
このように麻薬の歴史は古いのですが、
その鎮痛作用が細胞のオピオイド受容体に
特異的に結合して発揮されることがわかったのは、
1970年代に入ってからです。
さらに生体自身の下垂体、視床下部、副腎髄質、
消化管などでモルヒネ様活性を持つβ-エンドルフィンなどの
内因性オピオイドペプチドが合成されていること、
鍼麻酔のときにこれが関係するらしい、ともいわれています。

これらの研究のおかげでナロキソンという麻薬拮抗薬ができたり、
最近ではより依存性の少ない麻薬の開発研究も盛んになっています。
一方、大麻はクワ科の一年草である大麻草の葉や花を乾燥させたもの、
LSDは麦角菌のアルカロイドから合成したもので、
これらは、物が歪んで見えたり夢の中の心地になったり、
神秘体験のような幻覚作用を引き起こし依存性も
強いのですが、作用のしくみは十分わかっていません。
南米諸国からのコカインの密輸入、外国人によるアヘン、
ヘロイン、大麻の国内持ち込みや密売の事件が多発し、
麻薬の乱用が拡大していくのではないかと危惧されています。

麻薬の効用の表と裏、麻薬中毒1

麻薬の効用の表と裏、麻薬中毒

麻薬はその強力な鎮痛作用とさらに陶酔感、
多幸感をもたらすために、ガン患者の痛みを軽くして、
末期患者の生活の質を維持するのになくてはならない薬物です。
世界保健機関(WHO)からも、
その積極的な投与がすすめられています。
主に内蔵などからだの深部から起こってくるような痛み(内蔵痛)を
強力に抑えるはたらきがあります。
そこが、アスピリンなど、主にからだの表面の痛み(体性痛)に
効果があるものとの違いです。
手術の際の有用な麻酔薬として用いられています。

しかし、一方で麻薬は、人間の心をとらえ、惑わし、
最後には廃人にしてしまうという強力な副作用と薬物依存症をもっています。
薬物依存症とは、その快感のために薬物を常用するようになり、
習慣性になるだけではなく、次第に使用量も増え、やがては薬物なしでは
生きられないからだになってしまうということです。
そうなると、使用を中止したとき呼吸困難、知覚異常、精神錯乱などの
身体的依存性を引き起こしたり、コカインでは特に、
薬物を手に入れるためなら手段を選ばない、
というような精神的依存性から犯罪の原因になったりします。
また、麻薬を大量に服用したときは、
意識障害、昏睡から呼吸が抑制され、
ただちに救命救急処置をおこなわないと死に至ります。
ですから、わが国では、モルヒネ、ヘロイン、コカイン、ペチジン、
およびLSDなどの麻薬は麻薬取締法によって、
またLSDの親威の大麻(マリファナ)は
大麻取締法によって規制されています。

猛毒の化学兵器、神経ガス「サリン」2

猛毒の化学兵器、神経ガス「サリン」

神経細胞が興奮すると、アセチルコリンという物質が、
シナプスと呼ばれる連結部分の小さな空間に放出され、
これが次の神経や筋細胞の受容体に到達することで
信号が次から次につたわりますが、次の信号を受け取るため
アセチルコリンはただちに分解される必要があります。
ところが、有機リン系のこれらの毒ガスは、
このアセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)と
結合してその作用を阻害してしまう(抗エステラーゼ)ため、
アセチルコリンがシナプスに過剰に蓄積して
神経細胞は信号を次に伝えることができなくなります。
現在、サリン(GB剤)、ソマン(GD剤)、
タブン(VX剤)が代表的な神経ガスで、
半数致死量はわずか0.1ミリグラムから0.4ミリグラムといわれます。
そして、この毒ガスは呼吸器からだけでなく皮膚からも
吸収されるため、防毒マスクだけでは防げません。

毒ガスとして使用されるのは、(1)毒性が高い、
(2)効果が迅速、(3)散布が容易、(4)皮膚からも吸収される、
(5)散布後、時間がたつと毒性がなくなる、
(6)貯蔵できる、(7)安価である、などの特徴があるためです。
このような理由から、化学兵器として利用される毒ガスは、
これら有機リン系以外には、マスタードガスと青酸ガスぐらいです。
非殺人型の毒ガスは、防毒マスクで容易に防げるため、
暴徒鎮圧で使用される数種類を除いて存在しません。
この毒ガスを浴びた場合は、これまたアセチルコリンと
拮抗するアルカロイドのアトロピン、有機リン系農薬の解毒剤として
開発されたPAMなどが用いられます。
いわば、毒をもって毒を制するわけです。

猛毒の化学兵器、神経ガス「サリン」1

猛毒の化学兵器、神経ガス「サリン」

オウム真理教による松本サリン事件
(被害者200人以上、死亡7人)、
地下鉄サリン事件(約5500人の被害者、死亡12人)そして、
イラクやスーダンの製造疑惑以来、一躍有名になってしまった
サリンやVXは毒ガスと呼ばれる化学兵器の一種です。
このように純粋に人間の殺傷目的で開発された毒ガスは、
第一次世界大戦中ドイツが西部戦で(1915年4月)、
カナダ軍との前線に使用した塩素ガスが最初といわれています。


それ以来、第一次世界大戦が終結するまでに、
フランス軍のマスタード(イペリット)ガスなど
多くの種類の毒ガスが使用されました。
第一次世界大戦の終結とともに開かれたジュネーブでの会議(25年)で、
毒ガスの戦時使用は禁じられましたが、その後も、36年のタブン(tabun)、
38年のサリン(sarin)など、農薬用の有機リン系殺虫剤に
よく似た構造の有機リン系の毒ガスの開発は進められました。
第二次世界大戦では幸いに、お互いの報復を恐れたためか、
実戦で使用されることはありませんでした。
これらの有機リン系毒ガスは、体内の神経回路を
妨害するため神経ガスと呼ばれています。

神経がおかされ死に至るフグ中毒2

神経がおかされ死に至るフグ中毒

ところで、同じ種類のフグでも個体によって
毒の有無や強弱に違いがみられる場合があります。
それは、TTXをフグ自身がつくるのではなく、
エサを通して外部から取り込んでいるからです。
実際にTTXを合成しているのは、海底にいる細菌たちです。
それが食物連鎖を通して、フグまで運ばれるというわけです。
フグはTTXを含むエサを好んで食べ、
卵巣や肝臓、皮ふなどに蓄積します。
それは捕食者への防衛手段です。

無防備な卵のために、卵巣に多くのTTXを蓄積する
というのもおおいにうなずけます。
不思議なことに、フグは自らの毒にあたることはありません。
フグにはTTX耐性があり、ふつうの魚の500倍くらいまでは平気です。
しかしそれ以上になれば、さすがのフグも死んでしまいます。
さて、フグの中で最も高級とされるトラフグの養殖では、
TTXを蓄積させないようなエサが与えられます。
しかし、湾の一部を仕切っただけのような養殖場では、
TTXを含んだ天然のエサをフグが勝手に食べてしまうために、
どうしても有毒のものが出てしまいます。

神経がおかされ死に至るフグ中毒1

神経がおかされ死に至るフグ中毒

有毒フグによる中毒事故が跡を絶ちません。
報告数は毎年数十件にも及び、
被害者の約二割が命を落としています。
事故のほとんどは、免許を持たない素人の調理によるものです。
フグ毒の正体は、テトロドトキシン(TTX)
と呼ばれる有機化合物です。
1964年に、化学構造が解明されました。
TTXは神経毒ですが、いくら加熱しても
その毒性が消えることはありません。
唇や指先のしびれがフグ中毒の始まりです。
しびれは全身に広がり頭痛や吐き気、
舌やのどの麻痺が起こります。
その後、呼吸や心臓の機能が徐々に失われ、死に至ります。

フグ中毒は、発症が早いほど重くなるのがふつうです。
八時間をすぎてから発症した場合は、ほぼ全員が助かっています。
フグ中毒では、胃洗浄をはじめさまざまな治療がおこなわれます。
その中で特に重要とされるのが、
呼吸筋の麻痺に対する徹底した人工呼吸です。
呼吸管理ができれば、後遺症をまったく残さずに
患者を生還させることができるからです。
なお、最近ある種のカニがTTX抑制物質を
持っているとの報告がありました。
今後の研究に、特効薬への期待がもたれています。

2012年5月29日火曜日

食中毒のメカニズム2

食中毒のメカニズム

細菌毒素は、からだの特定のはたらきを邪魔し、
障害を与えたり命を奪ったりします。
例えば、かつて「いずし」や「芥子蓮根」で多くの犠牲者を出した
ボツリヌス菌の生み出す毒素(ボツリヌストキシン)は
きわめて強烈な神経毒で、
からだの神経回路を遮断して呼吸を止めてしまいます。
このボツリヌストキシンの猛毒性たるや、
なんとフグ毒(テトロドトキシン)の500倍、
青酸カリの100万倍にも達し、わずか100グラムで地球上の全人類を
死に至らしめることができるとさえいわれるほどです。
一方、仕出し弁当などを介して集団感染しやすい黄色ブドウ球菌は、
それほど強くはありませんが、次にあげるような複数の毒素を出します。


(1)α毒素とβ毒素
赤血球を破壊して酸素運搬機能を奪う(溶血毒)、
(2)δ毒素
細胞膜を破壊、
(3)ロイコジン
白血球を破壊。
黄色ブドウ球菌は、ニキビや切り傷などが化膿するときの原因菌です。
手指に傷があったり、目に病気があって眼帯をいじった手で
調理をしたために食品が汚染されるというケースがほとんどです。
さて、細菌性食中毒がやっかいなのは、
食品が食中毒菌に汚染されても見た目には
ほとんど変化がなく、気づかずに食べてしまうところにあります。
菌の混入と増殖を防ぐため、常に細心の注意を払って
食品を扱うよう心がけたいものです。

食中毒のメカニズム1

食中毒のメカニズム

生活全般にわたって衛生志向が高まる一方で、
なぜか減少の兆しすら見せようとしない食中毒。
統計に現れないものも含めると、
患者数は年間1000万人にものぼると推定されています。
ひとくちに食中毒といってもその原因は細菌(食中毒菌)、
化学物質、そして自然毒などさまざまです。
しかし数の上で圧倒的に多いのは、
やはり何といっても食中毒菌による細菌性食中毒です。
細菌性食中毒には、二つの型があります。
一つは、食中毒菌を含んだ食品を食べ、
それが消化管内で増殖して急性胃腸炎を起こす「感染型」です。


例としては、食中毒発生件数の多いサルモネラ菌や
腸炎ビブリオをあげることができます。
この型は潜伏期が比較的長いのが特徴です。
感染型では、食中毒菌が消化管内で増殖すると、
からだの防御反応の一つとして粘膜組織に炎症反応がおこります。
その結果、毛細血管から大量の液体
(抗菌性因子を含んだ血漿成分)が流出し、
食中毒菌を洗い流そうとします。
これが激しい下痢や脱水症状につながるわけです。
細菌性の下痢に、下痢止め薬の服用がよくないのはこのためです。
もう一つは、食中毒菌が毒素(細菌毒素)をつくり、
それがからだにさまざまなダメージを与える「毒素型」です。
有名なO-157、ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌などがあり、
潜伏期が短いのが特徴です。

毒ってそもそもなに?2

毒ってそもそもなに?

このように、無生物毒は生物が出会う機会の少なかったもの、
生物毒は存在競争に生き残る手段です。
すなわち、いずれの毒も進化の産物ではあるのです。
人類は長い間、この多種多様な毒を狩猟や毒殺用に使用してきました。
しかし、「毒と薬は紙一重」といわれるように、
薬として利用されてきた毒もあります。
ある病気が体内で起きている化学反応の低下が原因なら、
逆の作用(この場合は過剰な反応)を引き起こす毒は
その病には薬ともなるのです。
医学はこの毒を人体の仕組みを探る手段、
さらに薬の開発にまで利用できるようになりました。

例えば、メキシコ原産のサボテンから取れる
メスカリンという幻覚剤を調べると、
アドレナリンとよく似た形をしていて、アドレナリンの分解酵素の
はたらきを阻害していることがわかりました。
(神経の活性化をするアドレナリンは、仕事が終わったらすみやかに
分解される必要があります。)
そして、精神分裂病(の一種である偏執狂の)患者の脳から
アドレナリンとメスカリンのいずれにも
そっくりの物質が発見されました。
この病気は、体内でメスカリンそっくりの幻覚剤を
合成していることがわかったのです。
このように、心の病ですら、体内の化学変化の異常に
よるものであることがわかり、
その多くが薬で治療ができるようになりました。
毒も使いようによれば役に立つこともあるのです。

毒ってそもそもなに?1

毒ってそもそもなに?

自然界に存在する毒は、もともと自然界に存在する
火山ガスのような生理由来でない無生物毒と、
生物がつかったアコニチン(トリカブト)のような生物毒とに
分けることができます。
無生物毒は、私たちが通常の生活では出会うことのないものばかりです。
周囲にふつうに存在する物質に対しては、酸素のように、
本来、生物には猛毒(植物が酸素を生産しはじめたとき、多くの他の生物が
死滅したといわれています)であったはずのものですら利用するように、
あるいは耐えられるように、生物は進化してきたのです。

生物毒のうち、植物毒はアルカロイドやアミノ酸など
比較的単純で低分子量の毒が多く、
効果も強烈なものから弱いものまで幅があります。
一方の動物毒は、タンパク質やペプチドという複雑で分子量が大きく、
強烈なものが多いようです。
体内で複雑な化学合成のしくみをもっていない動物がつくる毒が、
植物毒より複雑で大きな分子量をもつことは不思議に思われるでしょう。
これは、動物毒は、自分の体を構成している
タンパク質などの分解で生じるものや、
他の生物の生産する毒素の再利用だからです。
言い換えれば、動物は廃棄物(?)を再利用して毒をつくっているのです。
これは、動物というもっぱら消費型の生物にとっては、
きわめて効率的な方法です。

車は走る大気汚染源(窒素酸化物、ベンゼン)2

車は走る大気汚染源(窒素酸化物、ベンゼン)

自動車の廃棄ガスで対策が最も遅れているのが粒子状物質です。
ディーゼルエンジン車が黒煙を出していることがありますが、
この黒煙が粒子状物質で、エンジンの中で燃料が燃えるときにできる煤です。
この煤には炭素の他に、エンジン中の高温中で生み出された
化学物質が含まれており、その中には強い発ガン性や
毒性をもったものも多くあります。
また、花粉症やぜん息などのアレルギー疾患の原因になったり、
病状を悪化させる恐れがあるという研究報告もあります。
排気ガスや燃料のほかにも、自動車は大気汚染物質を発生します。
アスベストは細い繊維状の形状をした鉱物の総称で、
断熱性や耐火性に優れた材料として多方面で用いられてきました。

しかし、現在では、中皮膚という悪性の腫瘍の原因になることが
わかったため、代替品への置き換えが進められています。
自動車では耐摩耗性を生かしてブレーキ部品に用いられています。
自動車がブレーキをかけるたびに少しずつですが、
アスベストは粉になり大気中へ放出され、環境を汚染します。
アスベストの代替品は各応用分野でそれぞれ開発され、自動車でも
1995年以降に生産された新車にはアスベストを使用しない
ブレーキが使用されています。
しかし、古い自動車の多くは、いまだにアスベストを使用しています。
また、今後はアスベスト代替品が大気に放出されることになりますが、
これらがまったく無害かどうかも完全にわかっていません。
アスベスト類による大気汚染問題は終わったわけではないのです。

車は走る大気汚染源(窒素酸化物、ベンゼン)1

車は走る大気汚染源(窒素酸化物、ベンゼン)

自動車の排気ガスには、窒素酸化物、
一酸化炭素、炭化水素、粒子状物質などの
さまざまな大気汚染物質が含まれています。
窒素酸化物は空気中の窒素がエンジン内で燃えて発生します。
窒素は燃えにくい物質ですが、
エンジンの中で燃料が爆発的に燃える際には、
いっしょに燃えてしまいます。
窒素酸化物は、やはり排気ガスに含まれる炭化水素とともに
光化学スモッグの原因になります。

また、窒素酸化物は水に溶け、亜硝酸と呼ばれる酸になり、
酸性雨、酸性霧の原因になります。
エンジン内では非常に早く燃料を燃やすため、
燃えない窒素が燃えるだけではなく、
本来燃えるはずの燃料、
つまり炭化水素が燃えずに排気ガス中に出てしまいます。
炭化水素の中で特に問題となるのはガソリンに
わずかに含まれているベンゼンです。
ベンゼンは分子の大きさがガソリンの成分に近いため、
原油からガソリンを分離するときにガソリンの中に
入りやすい性質をもっているのです。
ガソリンに含まれておるため、排気ガス以外にも給油時などに
燃料タンクから蒸発して大気を汚染する恐れがあります。
そこで、燃料タンクから蒸発するガソリンを大気に
もらさないための吸収装置等をつけたり、ガソリン自体もベンゼンを
なるべく含まないものをつくるなどの対策がなされています。

原発はトイレなきマンション 2

原爆はトイレなきマンション

再処理の分離抽出作業は、大量の試薬や機器を使用するので、
汚染を広げ放射線廃棄物の数と体積を増やします。
封じ込めていた放射性物質を開放するので、
英仏の再処理工場周辺では深刻な放射能汚染が起きています。
再処理自体がまだ確立していない、難しい技術なのです。
放射能が強い廃棄物は、宇宙、深海底、南極などに
棄てる算段がつぶれて、地下1キロメートルほどに
埋めることが検討されています。
安全性はわかりません。
アメリカの地下核実験場で、
プルトニウムが予想以上の速さで地下水脈を
移動していたことが報告されたばかりです。
深地下に埋めると再び取り出すのが困難です。
地上保管もかなりの難問ですが、まだマシかもしれません。

このほかに、放射性物質を放射能がない原子核へ
変換する消滅処理は、原理的には可能でも現実性が低い方策です。
また放射能が低い廃棄物は、
解体した原発から出るコンクリートや鉄の大部分などを
影響が小さいとして、何と通常のリサイクル市場や産廃施設で扱えるように方が
整備されようとしています。
そして忘れがちなことですが、
原子力発電のために最も大量に放射性廃棄物が生じるのは、
おおもとのウラン鉱山です。
原発で使うウランの数千倍もの重さのカスが生まれて、
野ざらしにされます。
これにはラジウムやラドンといった放射性物質が含まれ、
ラドンは大気に拡散していきます。
原発は未来世代のエネルギーの確保を理由に続けられていきます。
しかし、放射性廃棄物はもっと遠い未来の世代にまで残る負の遺産です。
目や手の届かぬ場所に棄てることを考える前に、処分問題が未解決のまま、
発生させつづけてよいのか、立ち止まって考えるべきでしょう。

2012年5月24日木曜日

原発はトイレなきマンション1

原発はトイレなきマンション

原子力発電所を運転すると、さまざまな放射性廃棄物が生まれます。
放射能は簡単に減らしたり、薬品では消せません。
放射性廃棄物の問題はいずれも技術が解決するとして原発は始められ、
「トイレのないマンション」と呼ばれました。
そして現在でも、トイレのないまま廃棄物はたまる一方です。
原子力は化石燃料に比べて廃棄物もわずかですむといわれますが、
そう単純ではありません。
原発の使用済み燃料は、ウランやプルトニウムが核分裂した
「死の灰」をはじめ強い放射性物質の塊なので、
体積は小さくても人間は近寄れません。
放射能が弱くなるのに何万年もかかるものも含まれています。

さらに、発電所や再処理工場など関連施設も、
いずれ巨大な放射性廃棄物になります。
使用済み燃料の処分の問題は、
これを海外の再処理工場に送ることで先送りされてきました。
日本もの計画していた再処理は、事故や建設の遅れで進んでいません。
海外契約分を送りきったので、
現在、使用済み燃料を水冷する原発内のプールが
満杯になりだし、本格的に糞づまりになってきました。
再処理はそもそも問題を先送りするどころか拡大します。
資源の有効利用や廃棄物減らしと称して、
燃え残りのウランやプルトニウムを再処理工場で取り出しますが、
それを燃やせば放射能が強い廃棄物を生むのは同じです。

2012年5月19日土曜日

あなたも持っている放射能と放射線2

あなたも持っている放射能と放射線

そして日本では誰でも年間約2.4ミリシーベルトもの自然放射線の被曝を、
宇宙から大地から食べ物などから受けているのです。
シートベルトとは被曝線量を意味する単位で
放射線の種類やエネルギーの違いによる
人体への影響の違いを考慮して表した線量です。
ミリは1000分の1という意味です。
私たちが受ける放射線はカリウムからの放射線(β線)が
最も大きいといわれています。
カリウムのうちの約0.02%は放射性カリウムなのです。
だからカリウムを含む食品を食べたときは、
必ず放射性カリウムも食べているのです。
人体を構成する元素にも放射能の量を合計すると、
一人あたり約7000ベクトルにもなります。

怪獣ゴジラではありませんが、私たちは誰でも放射能を持ち、
いつも放射線を出していることになるのです。
でもご心配なく。
このくらいの自然放射能や自然放射線で害が出たという証拠は
まだ一度も見つかっていません。
もちろん絶対安全な放射線量なんて理論的にはありません。
しかしながら人類の長い歴史の経験では、
自然放射線は安全だといっていいのです。
身近に飛び交う放射線を測れるチャンスが私たちにもあります。
(財)放射線計測教会では、
ハンディタイプの放射線メーター「はかるくん」を
無料で貸し出してくれています。

あなたも持っている放射能と放射線1

あなたも持っている放射能と放射線

チェルノブイリ原発事故直後には、
わが国では放射能汚染食品輸入防止のための
借置として、基準値一キログラム当たり
370ベクトルという数値が定められました。
それよりもずっと高い放射能を含む食品が
ずっと昔からあることをご存じですか?
原子力安全研究協会の報告によれば、
それぞれ1キログラムあたりに、お茶600ベクトル、
ポテトチップ400ベクトル、干しシイタケ700ベクトル、
干し昆布2000ベクトルの放射能が含まれているのです。
ベクトルとは放射能の単位で、1ベクトルは一秒間に一個の放射線が
放出されることを意味しています。

人体が放射線にさらされることを、「被曝」といいます。
発音が同じなので混同されやすいのですが
原爆の「被爆」とは少し意味が異なります。
放射線には主にα線、β線、γ線、中性子線などがありますが、
どの放射線に被曝しても放射線障害を心配する必要があります。
放射線障害には放射線で細胞が死んでしまうために
起こる臓器の機能不全や火傷など「早く現れる障害」と
発ガンや生まれる子どもが遺伝病などを発病する
「遅く現れたり、世代を超えて現れる障害」があります。
いずれも放射線量が大きければ大きいほど、その危険性も高くなってきます。
私たちの身の回りにも放射能がいたるところに存在し、
いつも放射線が飛び交っています。
天然に存在する放射線を「自然放射線」と呼びます。

地球温暖化と温室効果ガス2

地球温暖化と温室効果ガス

さて、悪役の気体の横顔をみておきましょう。
メタンは、天然ガスや石炭ガスの主成分で、無色無臭です。
ゴミ捨て場からも発生しています。
亜酸化窒素は、かすかに甘い香りのする無色の気体で、肺酔の効果があり、
吸い込むと顔が痙攣するため「笑気」ともいわれています。
フロンは、オゾン層を破壊する気体としても知られています。
これらの気体は、温室効果への影響が大きいのが特徴です。
メタンでは、二酸化炭素の約25倍、亜酸化窒素では約320倍、
フロンに至っては約8500倍です。
二酸化炭素が地球温暖化の「主犯」とされるのは、
その発生量が圧倒的に多いからです。

しかし、これからは、メタンから目が離せなくなりそうです。
現在、メタンは産業革命以前に比べて
約2.5倍に増加したといわれています。
石炭や天然ガスの使用に伴い増加したといえます。
メタンの発生源はそれ以外にもあります。
牛などのゲップや水田からの発生です。
水田からメタンが発生するメカニズムは次のとおりです。
稲が根を張る土の中には、
メタンを生産する嫌気性の細菌がすんでいます。
地面が乾いていると、土の表面にすむ別の細菌がメタンを消費するので、
大気中に出ることはほとんどありません。
しかし水田では、地面が水のなかに沈んでいてこの細菌がすめません。
また、稲の茎がストローのように作用し、
メタンを大気中に出してしまいます。
また亜酸化窒素は、肥料を与えることによって
発生することが確認されています。
さまざまな温室効果ガスの発生源にも
注目していくことが必要となってきました。

2012年5月18日金曜日

地球温暖化と温室効果ガス1

地球温暖化と温室効果ガス

大気中の二酸化炭素の増加による地球の温暖化が問題になっています。
地球温暖化防止京都会議(COP3)では、この二酸化炭素の
排出量の削減について議論されました。
しかし、地球を暖める悪役の気体、すなわち温室効果ガスは、
二酸化炭素以外にもいくつかあります。
それらは、メタン、亜酸化窒素、フロンなどです。
これらの気体が地球をあたためるメカニズムは、次のとおりです。
太陽からやってくるエネルギーは電磁波のかたちで地球に降り注ぎます。
電磁波を波長の長い順にならべてみると、電波、赤外線、可視光線、
紫外線、X線、γ線となります。
電磁波のエネルギーは、波長が短いほど大きいのです。

太陽からの電磁波の大部分は、可視光線と紫外線です。
大気中の温室効果ガスは、これらの電磁波をほとんど地上に通過させます。
地球はこれらのエネルギーを受け取り、地球が受け取った分だけエネルギーが
減少し波長が長くなった赤外線を、地球の表面から宇宙空間に放出します。
温室効果ガスは、これらの赤外線を吸収する性質をもち、
大気を保温する役割を果たしています。
温室効果が適度に作用すると地球が冷えきるのを防ぎ、
平均温度が摂氏約15度に保たれ、生命活動が可能となります。
しかし温室効果が増大すると、大気の温度は上昇してしまいます。

2012年5月17日木曜日

マムシ、ハブ、ヤマカガシのヘビ毒2

マムシ、ハブ、ヤマカガシのヘビ毒

マムシに咬まれると一対の刺し跡が残り、出血します。
主症状は、激しい腫れと疼痛です。
腫れは二日前後で最大となり、治まるまでに最低二週間はかかります。
咬まれてから半日~一日で視力低下など一過性の眼症状が現れ、
発熱、悪寒、吐き気、筋肉麻痺などの全身症状をともないます。
重傷の場合、血圧と体温の低下によるショックや急性腎不全を起こし、
死に至ることもあります。

マムシは毒の量が少なく、死亡することはめったにありません。
しかし、素人判断はせず、すみやかに病院に搬送することが大切です。
抗毒素血清の投与やや毒の吸引といった治療は、早いほど効果的だからです。
さて、20年ほど前から毒ヘビとして
認知されるようになったのがヤマカガシです。
ヤマカガシの毒牙は小さく、
また喉の奥にありため咬まれてもその多くは無毒咬症です。
とはいえ死亡例もありますので、
やはり大事をとって病院には行くべきです。
なお、ヤマカガシは頸部に毒腺(頸腺)をもっており、
強くつかむとそこから毒を飛ばすことがあるため注意が必要です。

生命がつくったバリア、たった五ミリのオゾン層2

生命がつくったバリア、たった五ミリのオゾン層

もっとも、オゾン層は逆に困った存在でもあります。
低い大気中のオゾンは温室効果をもち、
高濃度で肺浮腫をを引き起こし、低濃度でも呼吸器や皮膚の老化、
発ガンを促進するといった害が大きいからです。
産業活動によって生じるオゾン発生は抑制しなければいけません。
1982年、日本とイギリスの南極観測チームは、
南極上空でオゾンの濃度が平均値より
大幅に減少しているデーターを得ました。
世界中を驚かせたオゾンホールの発見です。
そして、科学者たちの集中的な研究と激しい論争の結果、
5年後には、フロンに由来する塩素が成層圏での
オゾンの生成を妨げていることが確認されるに至ったのです。

今、オゾンの減少は極地方だけではなく、
中緯度地方でも著しくなってきています。
両生類の激減など、野生生物の絶減が今、
世界中で進んでいることは周知のとおりです。
原因は複合的ですが、オゾン減少による影響が指摘されています。
人間に対する被害で最も憂慮されているのは、皮膚ガンの増加で、
日光浴や野外での活動を制限する動きも出ています。
87年のモントリオールの議定書、さらにその後の規制強化で、
フロンの製造と使用は禁止または厳しく制限され、
事態の悪化は抑制されています。
しかし、来世紀の初めにオゾンホールの拡大が止まるか
どうかは予断を許さない状況です。
各国の規制の動向が問題ですが、日本の法的規制には罰則を
伴わない点など疑問が残ります。

世界中で開発された化学物質

私たちの身の回りには化学物質があふれています。
それらは私たちの生活を豊に便利にしてくれます。
一方、強い毒性を持つ化学物質もあります。
安全と思われていた化学物質も、健康や環境に被害をもたらす場合がある
こともわかってきました。

世界中で開発された化学物質の情報を収集している米国の機関には、
2000年末時点で、2800万種類以上の化学物質が登録されています。
また、毎日4000種類もの化学物質が生まれています。

化学物質が厄介なのは、体内に入って即座に影響を現す毒性だけでなく、
ほんのわずかな摂取でも、体内に蓄積してガンを発生させたり、子孫を残す能力を
損なったりする性質を持っていることです。(環境ホルモンと呼ばれている化学物質)

「化学物質による貢献、プラス面」
豊かさ・便利さ・快適さ・経済性・画期的・伝染病から人命を救う等々、
人類に貢献しています。

「化学物質のマイナス面(害)」
公害・薬害・発がん性・過敏症・生殖機能異常・地球環境への影響等々、
「害」が問題になってきています。
例えばDDT(殺虫剤)やPCB(ポリ塩化ビフェニール)も、開発されたときは
画期的な商品ともてはやされ大量に使われましたが、後に毒性が強いことが判り、
今ではほとんど生産されていません。

水質や土壌を汚染、環境破壊を引き起こし、人々の健康を脅かす原因にもなってきた
化学物質が持つ危険性は、長期間使い続ける中で徐々に明らかになってきました。
私たちは、「便利さ」だけではなく、化学物質の持つ「リスク=害」を
きちんと認識することが大切だと思います。

私たちの身体と環境をむしばむ物質
殺人・中毒を起こす危ない物質
健康上気になる身の回りの物質
もっと知りたい健康食品
環境改善の化学技術と物質

2012年4月19日木曜日

たった五ミリのオゾン層

地球ができた頃の大気は、
二酸化炭素や硫化水素などの火山性のガスや窒素が
主成分であったと考えられています。
そこで発生した初期の生命は、
自然の化学反応で合成された有機化合物の蓄えを
「食べて」生きていました。蓄えがなくなれば当然おしまいだったはずです。
が、光合成をおこなうシアノバクテリア(藍藻)がそこへ登場して酸素を
放出しはじめ、太陽エネルギーがある限り持続可能な
生命のサイクルがスタートしました。
これが約二20億年前までの進化のシナリオです。
酸素は、酸化によるエネルギー利用、
つまり酸素呼吸をおこなう生物の発展を支えると
同時に、大気中では太陽光によって一部がオゾンに変化して、
強烈な紫外線を防ぐバリアを形成しはじめました。
オゾン層が出現したのです。


それによって生命は海中から海面近くへ、
そして地上へと領域を広げることが可能になりました。
現在オゾン層は、地上10キロメートルから
50キロメートル付近の成層圏に幅広く分布している、
実際にはかなり稀薄なオゾンの領域として存在しています。
オゾン層を仮に地上まで降ろしてきて大気圧の下で
厚みを計ったとすると、わずか五ミリメートルにしかなりません。
この薄いバリアが、UV-Bと呼ばれる、
化学結合を切る能力のある紫外線から生命を守っています。