2012年5月30日水曜日

神経がおかされ死に至るフグ中毒1

神経がおかされ死に至るフグ中毒

有毒フグによる中毒事故が跡を絶ちません。
報告数は毎年数十件にも及び、
被害者の約二割が命を落としています。
事故のほとんどは、免許を持たない素人の調理によるものです。
フグ毒の正体は、テトロドトキシン(TTX)
と呼ばれる有機化合物です。
1964年に、化学構造が解明されました。
TTXは神経毒ですが、いくら加熱しても
その毒性が消えることはありません。
唇や指先のしびれがフグ中毒の始まりです。
しびれは全身に広がり頭痛や吐き気、
舌やのどの麻痺が起こります。
その後、呼吸や心臓の機能が徐々に失われ、死に至ります。

フグ中毒は、発症が早いほど重くなるのがふつうです。
八時間をすぎてから発症した場合は、ほぼ全員が助かっています。
フグ中毒では、胃洗浄をはじめさまざまな治療がおこなわれます。
その中で特に重要とされるのが、
呼吸筋の麻痺に対する徹底した人工呼吸です。
呼吸管理ができれば、後遺症をまったく残さずに
患者を生還させることができるからです。
なお、最近ある種のカニがTTX抑制物質を
持っているとの報告がありました。
今後の研究に、特効薬への期待がもたれています。

0 件のコメント:

コメントを投稿