2012年5月30日水曜日

麻薬の効用の表と裏、麻薬中毒2

麻薬の効用の表と裏、麻薬中毒

麻薬の代表的なものはケシの未熟の果皮から
分泌される乳液を乾燥したアヘンです。
その主成分はモルヒネで、
ギリシャ時代から鎮痛目的に用いられました。
アヘンの中国への密輸入をめぐって起こった清と
イギリスとの戦いはアヘン戦争としてよく知られています。
このように麻薬の歴史は古いのですが、
その鎮痛作用が細胞のオピオイド受容体に
特異的に結合して発揮されることがわかったのは、
1970年代に入ってからです。
さらに生体自身の下垂体、視床下部、副腎髄質、
消化管などでモルヒネ様活性を持つβ-エンドルフィンなどの
内因性オピオイドペプチドが合成されていること、
鍼麻酔のときにこれが関係するらしい、ともいわれています。

これらの研究のおかげでナロキソンという麻薬拮抗薬ができたり、
最近ではより依存性の少ない麻薬の開発研究も盛んになっています。
一方、大麻はクワ科の一年草である大麻草の葉や花を乾燥させたもの、
LSDは麦角菌のアルカロイドから合成したもので、
これらは、物が歪んで見えたり夢の中の心地になったり、
神秘体験のような幻覚作用を引き起こし依存性も
強いのですが、作用のしくみは十分わかっていません。
南米諸国からのコカインの密輸入、外国人によるアヘン、
ヘロイン、大麻の国内持ち込みや密売の事件が多発し、
麻薬の乱用が拡大していくのではないかと危惧されています。

0 件のコメント:

コメントを投稿