2012年5月29日火曜日

毒ってそもそもなに?1

毒ってそもそもなに?

自然界に存在する毒は、もともと自然界に存在する
火山ガスのような生理由来でない無生物毒と、
生物がつかったアコニチン(トリカブト)のような生物毒とに
分けることができます。
無生物毒は、私たちが通常の生活では出会うことのないものばかりです。
周囲にふつうに存在する物質に対しては、酸素のように、
本来、生物には猛毒(植物が酸素を生産しはじめたとき、多くの他の生物が
死滅したといわれています)であったはずのものですら利用するように、
あるいは耐えられるように、生物は進化してきたのです。

生物毒のうち、植物毒はアルカロイドやアミノ酸など
比較的単純で低分子量の毒が多く、
効果も強烈なものから弱いものまで幅があります。
一方の動物毒は、タンパク質やペプチドという複雑で分子量が大きく、
強烈なものが多いようです。
体内で複雑な化学合成のしくみをもっていない動物がつくる毒が、
植物毒より複雑で大きな分子量をもつことは不思議に思われるでしょう。
これは、動物毒は、自分の体を構成している
タンパク質などの分解で生じるものや、
他の生物の生産する毒素の再利用だからです。
言い換えれば、動物は廃棄物(?)を再利用して毒をつくっているのです。
これは、動物というもっぱら消費型の生物にとっては、
きわめて効率的な方法です。

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