2012年5月17日木曜日

生命がつくったバリア、たった五ミリのオゾン層2

生命がつくったバリア、たった五ミリのオゾン層

もっとも、オゾン層は逆に困った存在でもあります。
低い大気中のオゾンは温室効果をもち、
高濃度で肺浮腫をを引き起こし、低濃度でも呼吸器や皮膚の老化、
発ガンを促進するといった害が大きいからです。
産業活動によって生じるオゾン発生は抑制しなければいけません。
1982年、日本とイギリスの南極観測チームは、
南極上空でオゾンの濃度が平均値より
大幅に減少しているデーターを得ました。
世界中を驚かせたオゾンホールの発見です。
そして、科学者たちの集中的な研究と激しい論争の結果、
5年後には、フロンに由来する塩素が成層圏での
オゾンの生成を妨げていることが確認されるに至ったのです。

今、オゾンの減少は極地方だけではなく、
中緯度地方でも著しくなってきています。
両生類の激減など、野生生物の絶減が今、
世界中で進んでいることは周知のとおりです。
原因は複合的ですが、オゾン減少による影響が指摘されています。
人間に対する被害で最も憂慮されているのは、皮膚ガンの増加で、
日光浴や野外での活動を制限する動きも出ています。
87年のモントリオールの議定書、さらにその後の規制強化で、
フロンの製造と使用は禁止または厳しく制限され、
事態の悪化は抑制されています。
しかし、来世紀の初めにオゾンホールの拡大が止まるか
どうかは予断を許さない状況です。
各国の規制の動向が問題ですが、日本の法的規制には罰則を
伴わない点など疑問が残ります。

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