2012年4月19日木曜日

たった五ミリのオゾン層

地球ができた頃の大気は、
二酸化炭素や硫化水素などの火山性のガスや窒素が
主成分であったと考えられています。
そこで発生した初期の生命は、
自然の化学反応で合成された有機化合物の蓄えを
「食べて」生きていました。蓄えがなくなれば当然おしまいだったはずです。
が、光合成をおこなうシアノバクテリア(藍藻)がそこへ登場して酸素を
放出しはじめ、太陽エネルギーがある限り持続可能な
生命のサイクルがスタートしました。
これが約二20億年前までの進化のシナリオです。
酸素は、酸化によるエネルギー利用、
つまり酸素呼吸をおこなう生物の発展を支えると
同時に、大気中では太陽光によって一部がオゾンに変化して、
強烈な紫外線を防ぐバリアを形成しはじめました。
オゾン層が出現したのです。


それによって生命は海中から海面近くへ、
そして地上へと領域を広げることが可能になりました。
現在オゾン層は、地上10キロメートルから
50キロメートル付近の成層圏に幅広く分布している、
実際にはかなり稀薄なオゾンの領域として存在しています。
オゾン層を仮に地上まで降ろしてきて大気圧の下で
厚みを計ったとすると、わずか五ミリメートルにしかなりません。
この薄いバリアが、UV-Bと呼ばれる、
化学結合を切る能力のある紫外線から生命を守っています。