2012年5月29日火曜日

毒ってそもそもなに?2

毒ってそもそもなに?

このように、無生物毒は生物が出会う機会の少なかったもの、
生物毒は存在競争に生き残る手段です。
すなわち、いずれの毒も進化の産物ではあるのです。
人類は長い間、この多種多様な毒を狩猟や毒殺用に使用してきました。
しかし、「毒と薬は紙一重」といわれるように、
薬として利用されてきた毒もあります。
ある病気が体内で起きている化学反応の低下が原因なら、
逆の作用(この場合は過剰な反応)を引き起こす毒は
その病には薬ともなるのです。
医学はこの毒を人体の仕組みを探る手段、
さらに薬の開発にまで利用できるようになりました。

例えば、メキシコ原産のサボテンから取れる
メスカリンという幻覚剤を調べると、
アドレナリンとよく似た形をしていて、アドレナリンの分解酵素の
はたらきを阻害していることがわかりました。
(神経の活性化をするアドレナリンは、仕事が終わったらすみやかに
分解される必要があります。)
そして、精神分裂病(の一種である偏執狂の)患者の脳から
アドレナリンとメスカリンのいずれにも
そっくりの物質が発見されました。
この病気は、体内でメスカリンそっくりの幻覚剤を
合成していることがわかったのです。
このように、心の病ですら、体内の化学変化の異常に
よるものであることがわかり、
その多くが薬で治療ができるようになりました。
毒も使いようによれば役に立つこともあるのです。

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